Monsieur Umemoto [ひとりごと]
お話を聞いているうちに、なんとなく憧れを抱いた人は、既に1年前に亡くなっていました。
【ムッシュに白いカスミソウ】
オペラ座界隈、早朝のモリエール像。
駐禁マーク@サンルイ島の路地裏。
ポンマリーからセーヌ川を望む。欄干の落書き、ハートマークがオチリぽい。
この橋の下を船で通るとき、
願い事をしながら隣の人にBiseビズ(頬にキス)すると、その夢が叶うという言い伝えがあります。
ただし、この「魔法」はたった一度だけ。
っていう、
いかにもな話も、パリでなら何となくアリ。
パリ市役所近く、オテル・ド・ヴィル近辺の教会。
サンタンヌ通りからちょっと入った小さい路地の花屋さん。
この白いカスミソウを、梅本先生に。
*
*
*
*
【全ては食べものへの興味から】
学生時代にやったフレンチのレストランのアルバイト。
この延長から始めた仏語。
私のフランスへの愛は、全て食べものへの興味から始まっています。
数年後、仏語検定3級を取得。
知り合いの酒屋さんの娘さんがブルゴーニュにいたので、そのツテで何度かパリ&フランスへ。
彼女は仕事に使う為、アテネフランセで特訓したので現地で会ったらペラペラでした。
料理人を夢見たころもあったけど、(一時やったカフェ時代も挟む)
いつしか全く違う業界に入り気が付けば一昔(ひとむかし)×2くらい経ってました。
仏語は旅行のたびにカジったけど、その後はホッタラカシ。
去年の旅行前にも少しおさらいしたけど、やっぱり所詮付け焼刃。
非常にもどかしい思いをして帰国・・・。
そして、
去年の夏の終わりごろ知った、最近のICレコーダーの進化!
速攻購入して、まずはNHKの講座を何年ぶりかに聴くと、
こちらも随分進化を果たしててビックリ。
入門編はかつてのニオイぷんぷんだけど、応用編は全然違う。
しかも、それさえも2部門に分かれていて、3か月で入れ替わる。
梅本先生の講座は新年明けてからで、これが初めての出会いでした。
彼は、元々コピーライターをされていたけどその後、映画評論家になられたかた。
フランスで日本映画(昭和の名作が主)がこれほど評価されているとは驚きで、
小津安二郎や溝口健二、成瀬巳喜男などを改めて観たいと思ったものです。
エリック・ロメール、メルヴィル・プポー、サッシャ・ギトリ・・・
梅本先生が直接インタビューした録音が教材。
低音の声で洒落た話を交えてする講座は魅力的で、
ネイティブかと思ってしまうような流暢な発音も素晴らしく、
ひたすらカッコイイと思ったものでした。
ひと月ほど経ったころ、何となく梅本先生のことを調べたのですが、
驚くべき事実を知るのです。
なんと、梅本先生は2013年3月に亡くなっていたのです。
NHKの教材は、半年をワンクールとして、
4月~9月の教材を後半の10月~3月まで再使用する仕組みのようで、
昨年度用の教材を録音終了した去年の3月12日、
まさにこのNHKの打ち上げ後に倒れて帰らぬ人となったそうです。
享年60歳。
「人生なんて瞬きするぐらいの長さしかない」
そう言ったご本人が、まさに風のように去ってしまわれました。
亡くなられて既に時間は経ってしまっていますが、
心よりご冥福をお祈りします。
*
*
*
パリで撮った画像を眺めていたら、
なんとなく先生のイメージに合いそうな数枚を選んでいました。
ムッシュ梅本、
好きなものに情熱を注ぐというのは本当に素敵なことだと、
改めて思える日々をありがとうございました。
時間が取れたら、また小津安二郎やトリュフォーをじっくり観てみたいです。
そして、コツコツとですが仏語の勉強も続けていきたいと思います。
( ※梅本先生の教材は今年度もまた使われています。また暫くは録音して聞き続けるコトができそうです。 )